糖尿病をはじめとする生活習慣病とは、日頃の不摂生な生活習慣や体質が原因となって発症する慢性疾患の総称です。高齢化、食生活の欧米化に伴い、生活習慣病の患者さんは年々増加しています。
代表的な病気として、糖尿病の他に、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、痛風などがあり、それぞれが密接に関係しています。
ほとんどの生活習慣病は、発症初期で自覚症状があらわれることはほとんどありません。
糖尿病なら血糖値、高血圧なら血圧が常に上昇したままの状態となり血管に負荷をかけ、脂質異常症であれば血管内に(LDL)コレステロールを蓄積させるなどして、血管が硬くなり動脈硬化へとつながります。そして、この動脈硬化は狭心症や心筋梗塞などの心臓病や脳卒中(脳梗塞やくも膜下出血)など命にかかわる病気を引き起こす要因となります。
このように進行すると怖い生活習慣病ですが、日頃からの生活習慣を見直したり、早期に治療を始めることができれば、予防や改善効果が期待できます。
当院では、食生活や運動習慣の改善指導、お薬による治療などを、患者さん一人ひとりの生活スタイルにあわせご提供いたします。
糖尿病とは、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を下げる働きを持つ「インスリン」という膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンが不足したり、働きが悪くなったりすることで、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。
日本人の高齢化や食生活の欧米化に伴い、糖尿病・糖尿病予備軍※の方が年々増加していて、日本人の40歳以上の3人に1人が「糖尿病」または「糖尿病予備軍」と報告されています。
糖尿病が怖いのは、治療せずに放置していると、糖尿病性神経障害や糖尿病網膜症などの重篤な合併症を引き起こしてしまうことです。糖尿病にならないためにも、定期的な健康診断を受診し早期発見、予防、治療を行うことが大切です。
※血糖値が正常の範囲を超えているが、糖尿病とも診断されない値が「境界型」とされ、「境界型糖尿病」「糖尿病予備軍」などといわれています。放置していると、いずれ糖尿病になる可能性が高くなります。
糖尿病は、初期には自覚症状がほとんどありません。糖尿病が進行すると、以下のような症状があらわれます。
など
糖尿病になってからすぐに合併症が起こることはありませんが、放置した状態で年月を経ると、さまざまな合併症を併発するリスクが高まります。
糖尿病の合併症には、大きく分けると細い血管にみられる合併症(細小血管障害)と、太い血管にみられる合併症(大血管障害)の2つがあります。
糖尿病に特有の合併症として多く見られるのが、細小血管障害の「糖尿病網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病性神経障害」で三大合併症と呼ばれます。
また、大血管障害は脳梗塞、虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)や閉塞性動脈硬化症など、生命に関わる病気が起こります。
血圧は、心臓から全身に送り出された血液が血管の壁を押すときの圧力のことで、心臓が縮んだり広がったりすることで発生します。
一般的に外来血圧が140/90mmHg、家庭血圧(自宅)が135/85mmHgを超える場合に、高血圧と診断されます。
高血圧は「サイレントキラー」といわれていて、自覚症状はほとんどあらわれません。しかし、血圧が高い状態が続くことで血管の壁に圧力が掛かり、その結果、血管を傷めて次第に血管が硬くなり動脈硬化へとつながります。
高血圧の原因は明確に特定されていませんが、遺伝的要因と、塩分の高い食生活、飲酒・喫煙、運動不足や精神的ストレスなどの環境的要因が重なって引き起こされると考えられています。
症状がないからといって、高血圧を放っておくと、動脈硬化が進行して引き起こされる脳卒中、心筋梗塞や腎臓病などの重大な病気になる可能性の高い疾患です。そのため、日頃からしっかりと生活習慣や内服薬などでコントロールする必要があります。
脂質異常症は、血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪などの脂質が必要以上に増えるか、または善玉コレステロール(HDLコレステロール)が少ない状態をいいます。
血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪などの脂質が多くなると、血管の壁にこれらの脂質がくっついて血管を狭くし、血管の弾力が失われる(動脈硬化)ことで、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる病気を引き起こします。
脂質異常症は、自覚症状がほとんどありません。そのため気づくのが遅れ、突然心筋梗塞などを発症してしまいます。
健康診断などで脂質異常症の疑いがある場合には、動脈硬化予防の観点からしっかり治療することが重要です。
また、脂質異常症は、食べ過ぎや偏食や運動不足、喫煙、飲酒などの生活習慣から引き起こされていることが多く、食事療法と運動療法を基本とした生活習慣の改善を図ることが大切です。
痛風は、血液中の尿酸値が7.0㎎/dlを超える状態の高尿酸血症になり、溶け切れなくなった尿酸が結晶となって関節などに蓄積することで激しい関節炎を起こす病気です。高尿酸血症は、30歳以上の成人男性の約30%にみられます。
尿酸はプリン体と呼ばれる物質から作られますが、このプリン体の代謝は糖や脂質、アルコールの代謝などと密接に関連するため、肥満や過食、飲酒が高尿酸血症の原因と考えられています。
高尿酸血症の方は、自覚症状がなくても糖尿病や脂質異常症といった他の生活習慣病の予備群であることが少なくないため、まずは生活習慣の改善を図る必要があります。